現在、Wnnにはさまざまな種類が存在しますが、元々はUNIX系のOS(Linux等)上でかな漢字変換をするソフトウェアでした。
Wnnは、京都大学、慶應義塾大学、立石電機(現・オムロン)、アステック(現・アールワークス)によって共同開発され、1987年に完成しました。
FreeWnnは、Wnnのバージョン4.2を元に、無料ソフトを維持し、フリーなライセンス(GPL)で公開されているもので、本ページではWnnはFreeWnnを意味します。
Wnnは、①かな漢字変換時にそのまま新しい単語をとして辞書登録でき、②使用頻度を含む変換辞書を次のコンピューターに引き継ぐことができます。
私の知る限り、この2つの機能を有するかな漢字変換ソフトウェアは、Wnnしかありません。
私たちは、日々、大量の文章を書いています。そのかな漢字変換の履歴は、まさにビッグデータ、宝の山です。
すなわち、ビッグデータを引き継ぎ、育て続けることができるのは、Wnnしかないのです。
Wnnを使う方法には、主に次の3つがあります。
Wnnはサーバー・クライアント方式を使っています。サーバーとしてFreeWnnを起動しておいて、クライアントからアクセスする方式です。
FreeWnnは最新のUbuntu等でも動きますので、問題はクライアントです。
クライアントとしては、次の3つの方法があります。
Emacsは、UNIX系のOS(Linux等)上で動作するエディタです。
テキストモード、HTMLモード、Pythonモードなど様々なモードが用意されており、あらゆる文章やプログラムコードを書くことができます。
Emacs上でWnnを使うには、Egg("た"くさん、"ま"たせて、"ご"めんなさい=たまご=Egg)を使います。
このEggの開発が止まっており、最新のtamago-tsunagi-5.0.7.1でもEmacs24.3以降では正常に動作しなくなっています。
幸いなことに、egg-tart.elというファイルをインストールして、tamago-tsunagi-5.0.7.1を少し修正するすることによって、最新のEmacs(29.3まで確認済み)上でも正常に動作します。
tamago-tsunagi-5.0.7.1とegg-tart.elは下記のURLからダウンロードできます。
細かいことに興味のない方は、次のようにすれば使えるようになります。
次のコマンドで、インストールします。
root> wget -O egg-tart-main.zip https://github.com/hata48915b/egg-tart/archive/refs/heads/main.zip
root> unzip egg-tart-main.zip
root> cd egg-tart-main
root> tar xvfz tamago-tsunagi-5.0.7.1.tar.gz
root> cd tamago-tsunagi-5.0.7.1
root> mkdir /usr/local/share/emacs/site-lisp/egg
root> mv egg its \*.el /usr/local/share/emacs/site-lisp/egg/
root> rm -f /usr/local/share/emacs/site-lisp/egg/egg-com.elc
root> cd ..
root> cp -p egg-tart.el /usr/local/share/emacs/site-lisp/egg/
root> chmod 444 /usr/local/share/emacs/site-lisp/egg/egg-tart.el
root> chown root:root /usr/local/share/emacs/site-lisp/egg/egg-tart.el
次のコードを、~/.emacs.d/init.el
に書き込んでください。
;;;=========================================================;;;
(add-to-list 'load-path "/usr/local/share/emacs/site-lisp/egg")
(if (not (fboundp 'make-coding-system))
(defun make-coding-system (coding-system &rest rest)
(define-coding-system coding-system ""
:mnemonic ?w :coding-type 'charset)))
(require 'egg)
(load "/usr/local/share/emacs/site-lisp/egg/leim-list")
(load "/usr/local/share/emacs/site-lisp/egg/menudiag")
(load "/usr/local/share/emacs/site-lisp/egg/egg-tart")
(setq default-input-method "japanese-egg-wnn")
(setq wnn-jserver "127.0.0.1")
(setq egg-default-startup-file "~/.eggrc.el")
;;;=========================================================;;;
Egg-tartを使う方法は限界が近付いておりますので、将来的にはこちらがおすすめです。
Chrootは、UNIX系のOS(Linux等)において、OSに別のバージョンのOSの環境を作ってし、ソフトウェアを使う技術です。
例えば、最新のUbuntuにUbuntu14.04(Trusty Tahr)の環境のEmacsでは、tamago-tsunagi-5.0.7.1が問題なく動きます。
サポートの終わったEmacsを動かすことになりますので、確かにセキュリティ的に問題はあります。
しかし、不審なEmacs Lisp(マクロ)を動かす等しなければ、トラブルが起きることは現実的にはないと思います
具体的には次のようして、Ubuntu14.04(Trusty Tahr)の環境を作り、Emasc24.3をインストールします。
root> apt-get install debootstrap
root> debootstrap trusty /trusty
root> choot /trusty
chroot> apt-get install emacs
次のようにしてtamago-tsunagi-5.0.7.1をインストールします。
chroot> apt-get install wget
chroot> wget https://github.com/hata48915b/egg-tart/raw/refs/heads/main/tamago-tsunagi-5.0.7.1.tar.gz
chroot> tar xvfz tamago-tsunagi-5.0.7.1.tar.gz
chroot> cd tamago-tsunagi-5.0.7.1
chroot> ./configure
chroot> apt-get install make
chroot> make
chroot> make install
root権限で使うのは危険なので、Chrootの環境にもユーザーを追加することをおすすめします。
chroot> useradd (ユーザー名)
chroot> mkdir /home/(ユーザー名)
chroot> chown (ユーザー名):(ユーザー名) /home/(ユーザー名)
chroot> chmod 700 /home/(ユーザー名)
Emacsの設定ファイル(.emacs.el
や.eggrc.el
)を/trusty/home/(ユーザー名)
においてください。
次のようにして、Emacsを起動します。
root> mount --bind /tmp /trusty/tmp
root> mount --bind /proc /trusty/proc
root> choot /trusty
chroot> su (ユーザー名)
chroot_user> env XMODIFIERS= emacs
(Wnnを使って、文章を作成・編集)
chroot_user> exit
chroot> exit
root> umount /trusty/proc
root> umount /trusty/tmp
シェルスクリプトを作れば、もっと簡単に使えるようになると思います。
ブラウザやメーラなどの一般的なソフトウェア上で、Wnnを使うにはkinput2を使うのが一般的です。
Kinput2は最新のUbuntu等でも動きますし、Chroot環境でも動きますので、特に問題はありません。
しかし、たまに一部のソフトウェアで、バージョンアップした際などに正常に動作しなくなることがあります。
個人で解決することは困難ですので、直るのを気長に待つか、Chrootを使って古いバージョンを使うかしてください。
Wnnのユーザーはコンピューターに詳しい方だと思いますので、釈迦に説法だと思いますが、念のために使い方を説明しておきます。
次を~/.Xresources
に書き込んでおいてください。
Kinput2*ConversionStartKeys: ~Meta Shift ~Ctrlspace \n Zenkaku_Hankaku
次の環境変数を設定しておいてください。
export XMODIFIERS="@im=kinput2"
export GTK_IM_MODULE=kinput2
export QT_IM_MODULE=kinput2
次のコマンドで、Kinput2を起動します。
/usr/bin/kinput2 -wnn -wnnenvrc ~/.wnnenvrc -kanjifont k20g
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